材料開発

貴金属は、高い導電性や機械的特性だけでなく、高温や酸・アルカリにも強く、物理的・化学的に安定しています。そのため、過酷な環境での使用に適しているといえます。
石福金属興業は、貴金属の特性を活かした革新的な製品開発に取り組んでおり、長年にわたり培ってきたノウハウをもとに、さまざまな分野でお客様のニーズに応えています。

プローブ用材料 ~530HVの驚異的な硬さをもつプローブ用材料~

コンタクトプローブとは、ICチップやLEDなどの半導体製品を検査する際に、製品と検査機との間で電気的な導通を取るための非常に小さい針状の部品です。プローブ用材料には、数万回も繰り返し製品に接触しても安定した試験ができるようにするために、優れた硬さと低比抵抗、高い耐酸化性が求められます。

当社が開発したプローブ用材料「APC-H1」は、銀・銅・パラジウムを主成分とし、微量の添加元素を配合した独自の組成設計により、これらの課題を解決しました。「APC-H1」の硬さは530HVと驚異的な数値で、貴金属合金プローブの中でも最高レベルです。また、優れた耐摩耗性により長寿命を保証し、国内外のお客様から高い評価をいただいています。

プローブの硬さ

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強化熱電対 ~飛躍的な寿命の向上~

高温・大気中で使用されるR型やS型の熱電対には、マイナス極側に純白金線、プラス極側に白金ロジウム合金線をそれぞれ用います。これらの熱電対は精度が非常に高いものの、高温で長時間使用するとマイナス極側の純白金線が伸びて切れやすくなるという課題がありました。

当社は、この課題を解決するために、通常の純白金線と同等の熱起電力をもちながら、結晶粒の成長を防ぐことで高温クリープ強度を約4倍に向上させる強化白金線の開発に取り組んでいます。この強化白金線により、熱電対の耐久性の大幅な向上が期待できます。

通常の純白金線は、高温に長時間さらされると結晶粒が粗大化し、太さと同じ大きさの1個の結晶粒にまで成長します。この構造は竹節状構造とも呼ばれ、外部からの力に非常に弱いため、熱電対が断線する主な原因となります。
一方、当社が開発した強化白金線は、高温にさらされても竹節状構造にならず、伸線方向に伸びた組織を維持します。これにより、断線に対する耐性が高まります。

熱処理試験後の断面組織

通常の純白金線
新開発した強化白金線

クリープ試験結果

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